入居後の面会と関わり方|
施設に入ってからが、家族の新しい関係の始まり

サイト管理人
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祖父母の施設入居・父親の入院と緩和ケアを経験。実体験をもとに情報をお届けします。
施設が決まって、荷物を運んで、契約の書類を書いて——ようやく、ひと区切りがつきました。
でも、その帰り道で、ふっと分からなくなる方がいます。「これから、どうしたらいいんだろう」と。
毎日していた介護が、急になくなる。手が空く。けれど心は空かない。いつ会いに行けばいいのか、どのくらいの頻度がふつうなのか、何を話せばいいのか。誰も教えてくれません。
この記事は、「入居したあと」の話です。施設探しの記事はたくさんありますが、入ったあとをどう過ごすかは、あまり語られません。
先にひとつだけ書いておきます。会いに行く回数の多さが、そのまま愛情の量ではありません。遠くに住んでいる方も、仕事が休めない方も、ご自身の体調が思わしくない方もいます。この記事では「週に何回行くべき」という決めごとは、ひとつも作りません。
⚠️ はじめにお読みください
この記事は、厚生労働省などが公表している一般的な情報と、介護の現場で広く共有されている考え方(2026年7月時点)をもとにまとめたものです。

面会のルールは、施設ごとに大きく異なります。とくに感染症への対応は、時期や地域の状況、その施設の建物のつくりや入居者の状態によって判断が変わります。この記事に書いてあることが、あなたの施設の決まりとは限りません。必ず、入居先の施設にご確認ください。

また、体調や心身の変化について、この記事で医学的な判断をお伝えすることはできません。気になることがあれば、施設の職員、看護職員、かかりつけの医師にご相談ください。

特定の家庭の事例は、実在のものも、たとえ話として作ったものも、いっさい書いていません。

① 入居してすぐの時期に、よくあること

入居してから最初のしばらくは、本人にとっても、家族にとっても、いちばん揺れやすい時期だと言われます。

長く暮らした家を離れて、知らない建物の、知らない部屋で眠る。まわりにいるのは、初めて会う人ばかり。食事の時間も、お風呂の時間も、これまでとは違います。これは、誰にとっても大きな変化です。

🏠 入居してすぐの時期に、よく聞かれること
  • 「家に帰りたい」と繰り返す
  • 落ち着かず、そわそわしている、夜に眠れていない様子がある
  • 食事があまり進まない
  • 元気がない、口数が減った
  • 逆に、家にいたときより表情がよくなった——こういうこともあります
  • トイレの場所や自分の部屋が分からず、戸惑っている

介護の分野では、住まいや環境が大きく変わることで、心や体に負担がかかることがあると説明されており、これを「リロケーションダメージ」と呼ぶことがあります。引っ越し、入院、施設への入居など、環境が変わる場面全般について使われる言葉です。

⚠️ ここは、断定を避けて書きます
「リロケーションダメージ」という言葉は、施設や介護事業者の説明の中で広く使われています。ただし、目の前のご本人の様子がそれに当たるのかどうか、どのくらいで落ち着くのか、この記事で判断することはできません。

変化の出方は人によってまったく違いますし、まったく問題なく馴染む方もいます。逆に、環境とは関係のない体調の変化が、たまたま同じ時期に重なっていることもあります。

ですから、「入居直後だから、そのうち慣れます」と自己判断で片づけないでください。食事が取れていない、眠れていない、様子がいつもと違う——気になることがあれば、施設の職員や看護職員に伝え、必要に応じて医師に診てもらう。これが、いちばん確かな道です。

家族が「気になる」と感じたことには、たいてい意味があります。遠慮せずに伝えてください。

この時期、家族がしんどくなること

「帰りたい」と言われると、家族の心も揺れます。「やっぱり間違えたんじゃないか」「かわいそうなことをしたんじゃないか」と、決めた自分を責めてしまう方がいます。

けれど、思い出してみてください。その決断は、追い詰められた末に、なんとかして選んだものだったはずです。在宅での介護が限界にきていたのかもしれません。ご本人の安全が守れなくなっていたのかもしれません。家族が倒れる寸前だったのかもしれません。

決めたことを、いま揺り戻さなくて大丈夫です。この時期の「帰りたい」は、その決断が間違いだったという証明ではありません。

罪悪感については、親を施設に入れるのはかわいそう?罪悪感との向き合い方にまとめています。この時期に読むと、少し楽になるかもしれません。

職員に伝えておくと、助けになること

💬 「その人らしさ」を知っているのは、家族です
入居してすぐの時期、職員はまだご本人のことを知りません。だからこそ、家族が知っていることを伝えると、ケアが変わることがあります。

  • 呼ばれ慣れている呼び方——下の名前、あだ名、「先生」などの呼ばれ方をしていた場合も
  • 長年の生活のリズム——朝が早い、昼寝の習慣がある、寝る前にすることがある
  • 好きなもの・苦手なもの——食べ物、飲み物、音楽、テレビ番組
  • してきた仕事や、打ち込んでいたこと——会話のきっかけになります
  • 大切にしている物——写真、道具、身につけているもの
  • 不安になりやすい場面——暗いところが苦手、大きな音が苦手など
  • 触れないほうがよい話題——家族の中の事情など、伝えておくと配慮してもらえます
口頭だと流れてしまうので、紙に書いて渡す方法もあります。書式は自由で構いません。「こんなことでもいいですか」と聞いてみてください。

② まず、面会のルールを確認する

会いに行きたいと思ったとき、最初にすることはその施設の面会ルールを知ることです。

そして大事な前提があります。面会のルールは、施設ごとに本当にばらばらです。「隣の施設ではこうだった」「知り合いのところは自由らしい」——比べても、あまり意味がありません。

コロナ禍のあと、いまはどうなっているか

📘 国の考え方(一般的な情報として)
新型コロナウイルス感染症の流行期には、多くの高齢者施設で面会が大きく制限された時期がありました。厚生労働省は当時、感染対策を講じたうえでの面会の工夫や、オンライン面会の活用について、施設向けに情報提供や事務連絡を行っています。

その後、2023年(令和5年)5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置づけられたことなどを受けて、国は、面会は入所者とご家族にとって重要なものであり、生活の質(QOL)の観点からも、感染対策を踏まえたうえで対面での面会を再開・推進していくことという趣旨の考え方を示してきました。厚生労働省からは、面会の再開・推進に関する施設職員向けのリーフレットや動画も出されています。

つまり、「会わせない」ことを国が求めているわけではありません。むしろ、過度な制限にならないよう配慮しながら、それぞれの施設が判断することとされています。
⚠️ ただし、実際の運用は施設ごとに大きく異なります
ここは、はっきり書いておきます。

国の考え方がそうだからといって、どの施設でも自由に面会できるという意味ではありません。実際の面会の可否や方法は、その時々の感染症の流行状況、地域の状況、施設の建物のつくり、入居者の健康状態などをふまえて、各施設が判断しています。

たとえば、施設内や地域で感染症が広がっている時期には、一時的に面会が制限されたり、オンラインや窓越しの形に切り替わったりすることがあります。これは新型コロナに限った話ではなく、インフルエンザや感染性胃腸炎が流行する季節にも起こりえます。

制限がかかったとき、それは施設が家族を遠ざけたいわけではなく、中で暮らしている方たちを守るための判断であることがほとんどです。つらい状況ですが、そこは分けて考えていただけたらと思います。

いま、あなたの施設がどういう運用をしているかは、施設に聞くしかありません。この記事に書いてあることを前提にせず、必ずご確認ください。

入居先に確認しておきたいこと

入居のときに説明を受けているはずですが、時間が経つと変わっていることもあります。気になったら、そのつど聞いて構いません。

確認すること 聞いておくと役立つ理由
面会できる時間帯 何時から何時までか。食事・入浴・レクリエーションの時間と重なると、ゆっくり会えないことがあります。「この時間帯だと落ち着いて過ごせますよ」と教えてくれる施設もあります
予約が必要かどうか 事前予約制をとっている施設は少なくありません。いつまでに、どこに(電話・アプリ・窓口)連絡すればよいかを確認しておきます
一度に会える人数、時間の上限 混雑を避けるため人数や滞在時間に上限を設けている施設があります。孫を連れて行きたい場合は、年齢の制限があるかも確認を
会う場所 居室で会えるのか、面会室や共有スペースなのか、屋外なのか。場所によって、過ごし方が変わります
持ち込んでよいもの・いけないもの ここは必ず確認してください。食べ物・飲み物は、持病や食事の形態(きざみ・とろみなど)、飲み込みの状態によって制限があることがあります。花や生ものが不可の施設もあります
体調確認・感染対策のお願い 検温、体調のチェックシート、マスクの着用など。ご自身や同居家族に発熱・かぜの症状があるときは、面会を控えることが求められるのが一般的です
外出・外泊ができるか 散歩、受診の付き添い、家に連れて帰ることができるか。できる場合も、手続きや事前の相談が必要なことがほとんどです
制限がかかったときの連絡方法 面会が中止になったとき、どう知らされるのか。「行ってみたら会えなかった」を防げます
オンライン面会・電話ができるか 方法、予約の要否、使う機器。遠方に住んでいる方には、ここがいちばん大きな情報かもしれません
💡 差し入れは「先に聞く」が、いちばん安全です
好きだった食べ物を持っていってあげたい——自然な気持ちです。

ただ、飲み込む力が落ちている場合、食べ物によっては危険なことがあります。糖尿病や腎臓の病気などで食事の内容に制限がある場合もあります。施設として、食中毒を防ぐために生ものや手作りのものを断っているところもあります。

「これは持って行っても大丈夫ですか」と、事前に聞いてください。断られたとしても、それは意地悪ではなく、ご本人を守るためです。

食べ物以外にも、喜ばれるものはあります。写真、家族の手紙、孫の絵、季節を感じる小さなもの、好きだった音楽——これも、置ける場所や量に決まりがある場合があるので、あわせて確認してみてください。

③ 面会の頻度に、正解はありません

この記事で、いちばん伝えたいところです。

「どのくらいの頻度で会いに行けばいいのか」——この問いに、正解はありません。

「週に1回は行くべき」「月に1度は顔を見せないと」といった言い方を、どこかで目にしたことがあるかもしれません。この記事では、そういう基準を作りません。

🌿 事情は、家庭の数だけあります
  • 飛行機や新幹線でないと行けない距離に住んでいる
  • 仕事を休むと収入が減る、あるいは休みが取りにくい職場にいる
  • 小さい子どもがいる、受験を控えた子どもがいる
  • 自分自身が持病を抱えている、あるいは高齢である
  • 配偶者の親の介護も同時に抱えている
  • 交通費が、毎回となると負担になる
  • 本人との関係に、長い時間をかけて積み重なった事情がある
どれも、責められる理由にはなりません。誰かが決めた「ふつう」に合わせる必要はないのです。

実際、施設で働く方の話や、施設が発信している情報を見ると、ほぼ毎日顔を出す家族もいれば、年に数回という家族もいて、本当にさまざまだとされています。そして面会の回数について、法律や制度の決まりがあるわけではありません。

「たくさん行く」ことが、いつも良いとも限りません

意外に思われるかもしれませんが、ここも触れておきます。

無理をして毎週通い、そのたびに交通費と時間を使い、疲れ切ってしまう。帰り道で涙が出る。仕事に支障が出る。家庭がぎくしゃくする。そうなってしまうと、続きません。

施設での暮らしは、年単位で続くことがあります。短距離走ではなく、長い道のりです。「無理なく続けられる形」を先に決めておくほうが、結果的にご本人のためにもなります。

⚠️ 誤解しないでいただきたいこと
いま書いたのは、「会いに行かなくていい」という意味ではありません。

家族が来てくれることは、多くの方にとって、やはり嬉しいことです。国も、面会は入所者と家族にとって重要なものだという考え方を示しています。会えるなら、会えるときに会ってください。

お伝えしたいのは、「回数を目標にしないでほしい」ということです。「今月は2回行けた」「先月より少ない」と数えはじめると、面会が義務になってしまいます。義務になった面会は、行く側にも、迎える側にも、あまりよくありません。

行ける日に、行ける形で。それで十分です。

行くタイミングを選べるなら

もし時間に融通が利くなら、ご本人が落ち着いて過ごせる時間帯を選ぶという考え方があります。

施設では、食事、入浴、機能訓練、レクリエーションなど、一日の流れがだいたい決まっています。その流れとぶつからない時間帯を職員に聞いておくと、ゆっくり過ごせることがあります。「何時ごろがいいですか」と聞けば、たいてい教えてくれます。

ただし、これも「その時間しか行ってはいけない」という話ではありません。都合のつく時間しか行けないなら、それで構いません。

④ 会いに行けないときの、別のつながり方

直接会いに行くことだけが、関わり方ではありません。

遠くに住んでいる方、行きたくても行けない時期がある方にとって、ここは大事な選択肢になります。

方法 できること・確認したいこと
電話 施設に取り次いでもらう形、居室に電話がある場合、本人が携帯電話を使える場合など、施設によって違います。忙しい時間帯を避けるため、「何時ごろなら大丈夫ですか」と聞いておくとお互いに気持ちよく話せます
オンライン面会 タブレットやパソコンの画面越しに顔を見て話す方法。コロナ禍を経て、多くの施設で仕組みが整いました。予約が必要か、施設側の機器を使えるか、どのアプリを使うかを確認してください。遠方に住む家族や、体調で外出が難しい家族にとって、大きな助けになります
手紙・はがき 読み返せるのが手紙のよいところです。短くて構いません。字が読みにくくなっている場合は、大きな字で書く、職員に読んでもらえないか相談する、といった方法もあります
写真 家族の写真、孫の写真、季節の風景。会話のきっかけにもなります。飾れる場所や量に決まりがある場合があるので、確認を
孫や、ひ孫からのもの 絵、折り紙、学校で作ったもの。うまく話せなくなっていても、こうしたものに反応がある場合があります
職員を通して、様子を聞く 電話で「最近どうですか」と聞くこともできます。ただし職員も業務中です。長電話は避け、要点を短く。急ぎでない話なら、面会のときや、定期的な報告の機会に聞くという方法もあります
💡 「顔を見せる」以外にも、届くものがあります
話ができなくなっていたり、こちらのことが分かりにくくなっていたりすると、「行っても意味があるんだろうか」と感じることがあるかもしれません。

けれど、その人の身の回りに、家族の存在を感じられるものが置かれていること——写真が飾ってあること、手紙があること、家族から届いたものがあること。それは、ご本人にとってだけでなく、お世話をする職員にとっても意味があります。「この方には、大切に思っている家族がいる」ということが、目に見える形で伝わるからです。

遠方で年に数回しか行けないとしても、関わっていないことにはなりません。

⑤ 話すことが見つからないとき

面会に行ったものの、5分で話すことがなくなってしまった。——これは、多くの方が経験することです。

もともと、そんなに会話の多い親子ではなかった。近況を聞かれても、施設の中の日常はそう変わらない。認知症があって、こちらの話が伝わりにくい。沈黙が気まずくて、行くのが少し億劫になる。

そういうとき、覚えておくと楽になることを書きます。

🌱 無理に話題を作らなくて大丈夫です
  • 黙って隣に座っているだけでもいい——「一緒にいる」ことそのものに意味があります。会話は、その一部でしかありません
  • 短時間で切り上げても構いません——15分でも、顔を見て手を握って帰る。それで十分な日があります。長くいることが良いわけではありません
  • 今日の天気、季節の話——「桜が咲いてたよ」「今日は暑いね」。中身のない話でいいのです
  • 写真を持っていく——見せながらだと、話が続きやすくなります。昔の写真でも、最近の写真でも
  • 昔の話を聞く——若いころの仕事、住んでいた土地、好きだったこと。最近のことは思い出しにくくても、昔のことはよく覚えている、という方がいます
  • 好きだった音楽をかける——一緒に口ずさむことがあるかもしれません(音量や場所については施設に確認を)
  • 手を握る、髪を整える、爪を見る——言葉がなくても伝わることがあります
  • 持ってきたものを一緒に片づける——衣類を入れ替えながら話す、というのも自然な過ごし方です

言葉が届きにくくなっているとき

認知症などで会話が難しくなっている場合、いくつか広く言われている工夫があります。

ゆっくり、短く話す。一度にひとつのことだけ伝える。「はい・いいえ」で答えられる聞き方にする。正面から、目線の高さを合わせて話す。——こうした関わり方は、介護の現場で一般的に勧められているものです。

⚠️ 「間違い」を正そうとしなくて大丈夫です
話の中身が事実と食い違っていても、その場で訂正しなくてよい場面が多くあります。亡くなった人が生きていることになっていたり、時代が昔に戻っていたりすることがあります。

そこで正そうとすると、ご本人が混乱したり、責められたように感じたりすることがあります。話を合わせて聞いておくほうが、その時間は穏やかに過ぎます。

ただし、どう関わるのがよいかは、その方の状態や場面によって変わります。この記事で「こうすべき」と決めることはできません。迷ったら、日々そばにいる施設の職員に「こういうとき、どうされていますか」と聞いてみてください。現場での関わり方を教えてもらえます。

会ったあとに、落ち込んでしまう方へ

面会のあと、帰り道でつらくなる。思っていたより弱っていた。名前を呼ばれなかった。会話がかみ合わなかった。——そういう日があります。

それは、あなたが冷たいからではありません。変わっていく親の姿を見るのは、単純に、しんどいことです。

その気持ちを、家に持ち帰って一人で抱えないでください。誰かに話す、書き出す、少し休む。介護する家族の心のケア|共倒れしないためにに、そのための考え方をまとめています。

⑥ 本人が「もう来なくていい」と言うとき

これを言われると、こたえます。

「もう来なくていい」「忙しいんだろう」「来てもらっても何もできない」——突き放されたように感じて、行きづらくなってしまう方がいます。

この言葉の受け取り方について、少していねいに書きます。

🍃 その言葉には、いくつもの背景がありえます
  • 本当に、遠慮している——遠くから来るのが大変だろう、仕事を休ませたくない、交通費がかかる。親が子どもを気づかう言い方であることは、少なくありません
  • 弱った姿を見られたくない——できなくなったことが増えていくのを、子どもに見られたくないという気持ち
  • 会ったあとに寂しくなるのがつらい——帰られたあとの時間がこたえるので、いっそ来ないでほしい、という場合
  • そのときの機嫌や、体調によるもの——次に行ったら、まったく違うことを言うこともあります
  • 本当に、一人の時間を大事にしたい——これも、あります
  • 家族との間に、長年の事情がある——ここは、他人が推し量れる領域ではありません
⚠️ 「本心ではない」と決めつけるのも、違います
ここは、慎重に書きたいところです。

「そう言っても、本当は来てほしいはずだ」——そう考えたくなりますし、実際にそうであることもあります。けれどそれを前提にしてしまうと、ご本人の言葉を聞かなかったことになります。

本人が本当に、一人で静かに過ごしたいと思っている場合もあるのです。それは、その方の意思であり、尊重されるべきものです。

家族の側の「行かないと気が済まない」という気持ちだけで押しきってしまうと、ご本人にとっては負担になることがあります。言葉どおりとも限らないが、言葉を無視してもいけない——ここは、そういう難しさのある場面です。

迷ったら、職員に様子を聞いてみる

判断がつかないとき、いちばん頼りになるのは、日々そばにいる職員です。

「家族が帰ったあと、どんな様子ですか」「面会の日は、何か変わりますか」——こう聞いてみると、家族には見えない部分が分かることがあります。面会の前後で表情が変わっている、その話をよくしている、といったことは、職員のほうがよく知っています。

そのうえで、間隔をあけて様子をみる、短時間だけ顔を出す、手紙に切り替えてみる——いろいろな形が試せます。「行く」か「行かない」かの二択ではありません。

💡 言われたことを、そのまま受けとめすぎないために
きつい言葉を言われた日は、それだけが頭に残ります。

ただ、その言葉が、その人のすべてではありません。体調が悪かったのかもしれません。その日の朝に何かあったのかもしれません。伝えたいことと、口から出る言葉がずれてしまうこともあります。

「今日はそういう日だった」と、いったん置いておく。そのくらいの距離のとり方が、長く関わっていくためには必要になることがあります。

⑦ 職員との付き合い方

入居後の暮らしを支えているのは、日々そばにいる職員の方たちです。家族と職員の関係が良好であることは、めぐりめぐって、ご本人の暮らしやすさにつながります。

ここでお伝えしたいのは、「監視する」のではなく「一緒にみていく」という姿勢です。

🤝 むずかしいことではありません
  • あいさつをする——行ったとき、帰るとき。これだけで、話しかけやすい関係になります
  • 帰るときに、ひとこと伝える——「今日はありがとうございました」「お世話になっています」
  • 様子を聞く——「最近どうですか」「困っていることはありませんか」。職員の側から見えていることを聞くと、家庭では気づけない変化が分かります
  • 家族が知っていることを伝える——昔の習慣、好み、心配な癖。①で書いたとおりです
  • 感謝を、言葉にする——介護の仕事は、感謝が返ってきにくい仕事だと言われます。ひとことでも、届きます
  • 忙しい時間帯を避けて話しかける——食事や入浴の時間は、どうしても手が離せません。「今、少しよろしいですか」と一声かけると、お互いに楽です

気になることがあれば、伝えていいのです

とはいえ、「良い関係でいたいから、言いたいことが言えない」となってしまうと、それも困ります。

あざがあった。爪が伸びている。同じ服が続いている。前より痩せた気がする。話しかけても反応が鈍い。気になったことは、伝えていいのです。

大事なのは、伝え方と、伝える相手です。

💬 伝えるときの、ちょっとしたコツ
  • まずは事実として伝える——「手にあざがあったのですが、何かありましたか」。責める形にせず、質問の形にすると話しやすくなります
  • いつ、どこで、何を見たかを具体的に——記録があると、施設側も確認しやすくなります
  • 相手を選ぶ——その場の職員に言うか、生活相談員やケアマネジャー、フロアの責任者に言うか。内容によって、伝える相手を変えるほうがよい場合があります
  • 感情が高ぶっているときは、一度持ち帰る——その場で強く言ってしまうと、後の関係が難しくなることがあります
  • 改善されたら、それも伝える——「あのあと、よくなりました。ありがとうございます」。これがあると、次も言いやすくなります

それでも解決しないとき、あるいは「これはさすがにおかしい」と感じるときの進め方は、施設への苦情の申し立て方|窓口の順序と気になることの伝え方にまとめています。施設の中の窓口から、市区町村や国民健康保険団体連合会といった外部の窓口まで、順を追って整理しています。

「言ったら、家族が困った人だと思われて、本人の扱いが悪くなるのでは」——そう心配される方がいます。その不安も、article-38のほうで触れています。不安があるからこそ、伝え方と順序を知っておくことに意味があります。

⑧ ケアプランの見直しに、家族も関われます

意外と知られていないのが、ここです。

施設に入ったあとも、ケアの計画は作られ、見直されています。そして、家族もそこに関わることができます。

施設サービス計画(施設のケアプラン)とは

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などでは、入居している方一人ひとりについて「施設サービス計画」が作られます。いわゆる施設のケアプランです。作成するのは、その施設の介護支援専門員(施設のケアマネジャー)です。

どんな暮らしを目指すのか、そのためにどんな支援を行うのか。食事、入浴、排せつ、機能訓練、日中の過ごし方——その方の生活の設計図のようなものだと考えてください。

📋 一般的な流れ(施設によって運用は異なります)
  • 入居のときに、計画の原案について説明を受け、同意して署名する——このとき、リハビリや栄養に関する計画の説明も一緒に受けることがあります
  • その後、定期的にモニタリング(状況の確認)が行われる——実際にうまくいっているか、変えたほうがよい点はないかを見ていきます
  • 状態が変わったときや、定期の見直しのタイミングで、計画が作り直される
  • 計画を検討する場として「サービス担当者会議」が開かれることがある——ケアマネジャーが中心になり、関わる職種が集まって話し合う場です
見直しの頻度や進め方は、施設の種類や運用によって異なります。ご自身の施設ではどうなっているか、施設のケアマネジャーや生活相談員に聞いてみてください。

サービス担当者会議に、家族も参加できます

サービス担当者会議には、ご本人や家族が参加する場合があります。

「専門職だけの会議なのでは」と思って遠慮してしまう方がいますが、その計画は、ご本人の暮らしについてのものです。家族が知っていること、望んでいること、心配していることを伝える機会になります。

⚠️ ただし、実際の運用は施設ごとに異なります
必ず家族が呼ばれる、必ず参加できる、と断定することはできません。会議の開き方や参加者の範囲は、施設や状況によって違います。日程の都合で参加が難しいこともあります。

ですから、「参加したい」と思ったら、こちらから伝えてください。「ケアプランを見直すときは、できれば同席したいのですが」「難しければ、内容を教えていただけますか」と伝えておくと、声をかけてもらいやすくなります。

遠方で参加が難しい場合も、電話やオンラインでの参加ができないか、あるいは書面で意見を伝えられないかを相談してみるという方法があります。できるかどうかは施設によりますが、聞いてみる価値はあります。
📝 伝えると役に立つこと
  • 本人が、以前どんな暮らしをしていたか——生活のリズム、大事にしていた習慣
  • 何が好きで、何が苦手か——食べ物、活動、人との関わり方
  • 家族として、こうあってほしいと思うこと——「できるだけ歩ける状態を保ってほしい」「無理に活動に参加させなくていい」など
  • 面会のときに気づいた変化——「前より声が小さい」「同じ話が増えた」
  • 心配していること——転倒、飲み込み、夜の様子など
  • 家族の側の事情——遠方であること、連絡がつきやすい時間帯
専門的な言葉を使う必要はありません。「気になっているのですが」で始めて構いません。

ケアプランや介護保険の仕組みそのものについて分からないことがあれば、介護の相談はどこにすればいい?無料で使える相談窓口まとめもあわせてご覧ください。施設の中で聞きにくいことは、外の窓口で聞くという方法もあります。

⑨ 持ち物と、季節ごとの入れ替え

入居後、家族が担うことになる実務のひとつが持ち物の管理です。地味ですが、これがあることで面会に「目的」ができ、行きやすくなるという面もあります。

👕 定期的に必要になりやすいもの
  • 季節に合った衣類の入れ替え——施設の中は空調が効いているので、外の気温とずれることがあります。「いま、どんな服が必要ですか」と職員に聞くのがいちばん確実です
  • 下着・靴下の補充——洗濯を重ねると傷みます。減っていないか、面会のときに見てみてください
  • 履物——足のむくみや状態の変化で、合わなくなることがあります。転倒に関わる部分なので、職員に相談してから選ぶと安心です
  • 洗面・整容のもの——歯ブラシ、歯みがき粉、くし、ひげそりなど。消耗品は切れる前に
  • おむつ類(施設によって扱いが異なります)——施設が用意する場合と、家族が持ち込む場合があります
  • ティッシュ、タオル類
⚠️ 名前つけを、忘れずに
施設では、多くの方の洗濯物をまとめて扱います。名前が書かれていないと、紛れて行方が分からなくなることがあります。

新しく持ち込むものには、その施設のやり方に合わせて名前を書いてください。油性ペンでよいのか、名前用のタグやアイロンシールを使うのか、書く場所に決まりがあるのか——施設によって違います。最初に確認しておくと、あとが楽です。

それでも、物がなくなることは起こりえます。入れ歯やメガネ、補聴器のように、なくなると生活に直接ひびくものは、扱い方を職員と相談しておくとよいでしょう。

高価なもの、代わりのきかない思い出の品は、持ち込まないほうが安心です。写真は、原本ではなくコピーやプリントしたものを飾るという方法もあります。

入居のときにそろえる持ち物については、介護施設への入居時に必要な持ち物リストで詳しくまとめています。入居後の補充も、基本的な考え方は同じです。

💡 「持ち物の入れ替え」は、面会のきっかけにもなります
話すことが見つからない、行く口実がないと感じるとき。「衣替えの服を持って行く」というだけで、面会の理由になります。

一緒にたんすを整理しながら、「これ、まだ着られるね」「これはもう小さいかな」と話す。手を動かしていると、会話が自然に出てくることがあります。向かい合って座っているより、楽な時間になる方もいます。

⑩ 行けない日の、罪悪感について

ここまで「頻度に正解はない」と書いてきましたが、頭で分かっていても、気持ちは別だということも、よく分かります。

行けなかった週末。仕事が終わらなかった日。子どもが熱を出した日。自分が疲れ果てて、どうしても動けなかった日。

そのたびに、「行かなかった」という事実だけが、心に残ります。

🌿 覚えておいていただきたいこと
  • 罪悪感は、大事に思っているから出てくるものです——どうでもいい相手に、罪悪感は湧きません。その気持ち自体は、責められるものではありません
  • ただし、罪悪感は「量」を測る道具にはなりません——たくさん感じたから愛情が深い、というものではありません
  • いま施設で暮らせているのは、誰かが動いたからです——見学して、書類を書いて、契約して、荷物を運んだ。それは、すでにしたことです
  • 費用の手配、持ち物の補充、職員との連絡——面会以外にも、家族がしていることはたくさんあります。目に見えにくいだけです
  • 行けない時期があっても、関係は途切れません——数か月あいてしまっても、また行けばいいのです
  • 自分が倒れたら、続きません——これは、きれいごとではなく現実の話です

施設に入れたこと自体への罪悪感が消えないという方は、親を施設に入れるのはかわいそう?罪悪感との向き合い方を読んでみてください。「かわいそう」という言葉に、どう向き合うかを書いています。

そして、疲れがたまっていると感じたら、介護する家族の心のケア|共倒れしないためにのほうを。自分の消耗は、自分ではいちばん気づきにくいものです。

「施設に入れたのに、まだ大変」という感覚について

もうひとつ、触れておきたいことがあります。

入居すれば楽になると思っていたのに、思ったほど楽になっていない——そう感じている方がいます。

お金の管理は続きます。書類は届きます。持ち物の補充があります。施設からの連絡があります。受診の付き添いが必要なこともあります。そして何より、心配する時間はなくなりません。

それは、あなたの感じ方がおかしいわけではありません。介護は「入居」で終わるものではなく、形が変わって続いていくものだからです。

ただ、変わったこともあるはずです。夜中に起こされることはなくなった。食事の心配をしなくてよくなった。転倒の不安に、四六時中さらされることはなくなった。減った負担のほうにも、目を向けてみてください。

⑪ これから先のことも、少しずつ

この章は、重い話を含みます。いま読むのがつらければ、飛ばしてください。また読める日に読んでいただければと思います。

そのうえで書きます。施設での暮らしは、いつまでも同じ状態で続くわけではありません。

🍂 少しずつ考えておけると、後で助かること
  • 体調が変わったとき、どこまでの医療を望むか——入院するのか、施設で見てもらうのか。これは、状況によって変わるものです。いま決めきる必要はありません
  • 本人が、どうしてほしいと思っているか——話せるうちに、少しでも聞けていると、家族の迷いが減ります
  • 連絡がつく体制——夜間や早朝に施設から電話が来ることがあります。誰が受けるか、つながらないときの次の連絡先は誰か
  • きょうだいとの共有——一人だけが状況を知っている状態は、いざというときに揉めやすくなります
  • 費用の見通し——長く続くほど、確認しておく意味があります
⚠️ 急がなくて大丈夫です
こうしたことを、入居してすぐに全部決める必要はありません。むしろ、落ち着かない時期に無理に話を進めると、家族の間でぎくしゃくすることがあります。

「いつか話さなければいけないことがある」と頭の片隅に置いておく。それだけでも違います。ご本人が話せる状態で、穏やかな日に、少しずつ。

そして、医療やケアの方針について、家族だけで抱え込まないでください。施設の職員、施設のケアマネジャー、看護職員、配置医師や協力医療機関の医師——相談できる相手が、施設の中にいます。

施設で最期まで過ごすという選択については、介護施設での看取りとは?最期を施設で迎えることを考えるにまとめています。看取りに対応している施設と、そうでない施設があります。いま入居している施設がどうなのかを知っておくことは、慌てないために役立ちます。

ただ、いま無理に読まなくて構いません。必要になったときに、この記事に戻ってきてください。

⑫ どうしても合わないと感じるとき

最後に、この話にも触れておきます。

ここまで、いまの施設で関係を築いていくことを前提に書いてきました。ほとんどの場合、それがいちばん良い形だと思います。環境が変わることは、ご本人にとって負担になりますし、①で書いたとおり、住まいが変わること自体が心身にこたえる場合があるからです。

ですから、少し気になることがあったからといって、すぐに住み替えを考える必要はありません。

💡 まず試したいこと
  • 気になることを、具体的に伝える——⑦で書いたとおりです。伝えることで変わることは、実際にあります
  • ケアプランの見直しを相談する——⑧のとおり、暮らし方の設計は変えられます
  • 居室の変更やフロアの相談——同じ施設の中でも、環境を調整できる場合があります
  • 外部の窓口に相談する——施設の中で解決しないときの手順は、施設への苦情の申し立て方に整理しています
  • 時間をおいてみる——入居してすぐの時期の落ち着かなさが、しばらくして変わることもあります

そのうえで——いろいろ試しても、どうしても合わないと感じることは、あります。

ご本人の状態が変わって、いまの施設では対応が難しくなった。医療的なケアが必要になった。費用の負担が続けられなくなった。何度伝えても、状況が変わらない。そういうときには、住み替えという選択肢もあります。

それは「逃げ」でも「失敗」でもありません。そのときのご本人にとって、いちばん合う場所を探し直すというだけのことです。

ただし、住み替えは、ご本人にとって大きな変化になります。いまの施設への不満だけで決めず、担当のケアマネジャーや生活相談員、地域包括支援センターに相談したうえで判断してください。「相談してみる」と「決める」は別のことです。

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いまの施設を変える予定がなくても、ほかにどんな選択肢があるのかを知っておくと、いざというときに慌てずにすみます。状態が変わって対応できる施設を探すことになった場合の備えとして。無料で相談でき、急いで決める必要はありません。
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📌 まとめ

  • 入居してすぐの時期は、本人も家族も揺れやすい時期です。「帰りたい」と言われても、決断が間違いだったという証明ではありません。環境の変化が心身に影響することがある(リロケーションダメージ)と説明されますが、目の前の様子がそれに当たるかどうかは自己判断せず、気になることは職員・看護職員・医師に相談を
  • 面会のルールは、施設ごとに大きく異なります。時間帯、予約の要否、人数、会う場所、持ち込みの可否、感染症流行時の制限、外出・外泊の扱い。必ず入居先に確認してください
  • コロナが5類に位置づけられて以降、国は「面会は入所者・家族にとって重要であり、感染対策のうえで対面での面会を再開・推進する」という趣旨の考え方を示しています。ただし実際の運用は各施設の判断です。制限がかかるときは、中で暮らす方々を守るための判断であることがほとんどです
  • 面会の頻度に、正解はありません。この記事では「週に何回」という基準を作りません。遠方、仕事、子育て、自身の体調、費用——事情は家庭の数だけあります。回数を数えはじめると、面会が義務になってしまいます
  • 行ける日に、行ける形で。無理をして続かなくなるより、長く続けられる形のほうが、結果としてご本人のためになります
  • 会えないときのつながり方もあります——電話、オンライン面会、手紙、写真、孫の描いた絵。コロナ禍を経てオンライン面会の仕組みが整った施設は多く、遠方の家族には大きな助けになります
  • 話すことが見つからなくて構いません。黙って隣にいるだけでも、15分で帰っても大丈夫です。写真を持っていく、昔の話を聞く、手を握る、持ち物を一緒に片づける——会話だけが面会ではありません
  • 本人が「来なくていい」と言うとき、遠慮・弱った姿を見せたくない・寂しくなるのがつらい、など背景はさまざまです。言葉どおりとは限りませんが、「本心ではない」と決めつけるのも違います。本人の意思は尊重されるべきものです。迷ったら、日々そばにいる職員に様子を聞いてみてください
  • 職員とは「監視する」のではなく「一緒にみていく」関係で。あいさつ、様子を聞くこと、感謝を言葉にすること。そのうえで、気になることは伝えていいのです。伝え方と手順は施設への苦情の申し立て方に整理しています
  • 施設に入ったあとも、ケアの計画(施設サービス計画)は見直されます。サービス担当者会議に本人や家族が参加する場合もあります。必ず参加できると断定はできませんが、「同席したい」と伝えておくと声をかけてもらいやすくなります。遠方なら、電話・オンライン・書面での関わり方を相談してみてください
  • 持ち物の補充と季節ごとの入れ替えは、家族の役割になりやすい部分です。名前つけの方法は施設に確認を。高価なものや代えのきかない品は持ち込まないほうが安心です。「服を持っていく」ことが、面会のきっかけにもなります
  • 行けない日の罪悪感は、大事に思っているから出てくるものです。ただし、罪悪感の量は愛情の量ではありません。費用の手配も、持ち物も、職員との連絡も、目に見えにくいけれど家族がしていることです
  • これから先のこと(体調の変化、医療の希望、看取り)は、急がなくて大丈夫です。「いつか話すことがある」と頭の片隅に置いておくだけでも違います。家族だけで抱えず、施設の職員や医師に相談を
  • どうしても合わないときは、住み替えという選択肢もあります。ただし本人にとって大きな変化です。まずは伝える・見直す・相談する。そのうえで、ケアマネジャーや地域包括支援センターと相談して判断してください

施設を決めるまでは、目の前に「やること」がありました。見学して、比べて、書類を書いて、荷物をそろえて。忙しさが、迷いを覆い隠してくれていた面もあったかもしれません。

入居したあとは、それがなくなります。だから、かえって心細くなる。「これでよかったのか」という問いだけが、静かに残る。

けれど、ここからは「介護する人」と「される人」ではない関係に戻れる時間でもあります。食事を作らなくていい。夜中に起きなくていい。おむつを替えなくていい。ただ、隣に座って、天気の話をして帰る。それは、介護に追われていたころにはできなかったことかもしれません。

関わり方は、これから作っていけます。回数でも、時間の長さでもありません。あなたが、無理なく続けられる形で。それがいちばん、長く続きます。

⚠️ この記事について
この記事は、厚生労働省などが公表している一般的な情報と、介護の現場で広く共有されている考え方(2026年7月時点)をもとにまとめたものです。特定の家庭の事例は、実在のものも、たとえ話として作ったものも記載していません。
面会のルールや運用は、施設ごとに大きく異なります。感染症への対応はとくに、時期や状況によって変わります。この記事の内容を前提とせず、必ず入居先の施設にご確認ください。
心身の状態や体調の変化について、医学的な判断はしていません。気になることがあれば、施設の職員・看護職員・かかりつけの医師にご相談ください。
ケアプランや介護保険の手続きについては施設のケアマネジャー・生活相談員・担当のケアマネジャー・地域包括支援センター・市区町村の窓口へ。施設の対応について解決しないことがある場合の相談先は、施設への苦情の申し立て方に整理しています。
面会の頻度について、この記事では望ましい回数を示していません。ご家庭の事情に合わせて、無理のない形をとってください。
📚 この記事で参考にした情報
  • 厚生労働省による、高齢者施設等における面会に関する事務連絡・情報提供——新型コロナウイルス感染症の流行期に示された、感染対策を講じたうえでの面会の工夫やオンライン面会の活用について。「社会福祉施設等における面会等の実施にあたっての留意点について」(令和3年11月24日付 厚生労働省健康局結核感染症課ほか連名事務連絡)など
  • 厚生労働省作成「高齢者施設等における面会の再開・推進」に関する施設職員向けリーフレット・動画——面会を積極的に実施している施設の事例と、実施方法についての情報提供(各自治体を通じて周知)
  • 新型コロナウイルス感染症の5類感染症への位置づけ変更(2023年5月8日)以降の面会に関する国の考え方——面会が入所者・家族にとって重要であること、生活の質(QOL)の観点をふまえ、過度な制限とならないよう各施設が判断すること
  • 介護施設の面会運用に関する、施設・事業者による公表情報——事前予約制、人数や時間の制限、体調確認、持ち込みの可否、オンライン面会の運用など。いずれも施設ごとに異なることが繰り返し示されています
  • 面会頻度に関する、施設・事業者による公表情報——頻度に決まりはなく、家庭の事情に合わせて無理のない範囲で、という説明が一般的であること。滞在時間は30分〜1時間程度が多いとする調査結果もあります
  • 「リロケーションダメージ」に関する介護事業者・関連団体の解説——住環境が変わることで心身に負担がかかることがあるとされる考え方、その説明のされ方について。医学的な診断名として用いたものではありません
  • 施設サービス計画(施設のケアプラン)およびサービス担当者会議に関する一般的な解説——施設の介護支援専門員が作成すること、入居時に説明・同意・交付が行われること、定期的なモニタリングと見直しが行われること、会議に本人や家族が参加する場合があること
  • 認知症のある方とのコミュニケーションに関する、介護分野で広く共有されている考え方——ゆっくり短く伝える、「はい・いいえ」で答えられる聞き方にする、その場で否定しない、といった関わり方について
制度や通知の内容は要約してお伝えしています。正確な内容は原文を、実際の運用は入居先の施設に、手続きの詳細はお住まいの自治体や担当の専門職にご確認ください。

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